認容額 | 1億8634万798円 |
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年齢 | 16 歳 |
性別 | 男性 |
職業 | 高校生 |
傷病名 | 胸髄損傷による両下肢完全麻痺、右腕神経叢損傷による右上肢機能障害及び醜状障害 |
後遺障害等級 | 1級 |
判決日 | 平成20年12月15日 |
裁判所 | 大阪地方裁判所 |
交通事故の概要
平成14年8月5日午後1時48分ころ、京都府福知山市字萩原116番地の一先路上において、加害者が、普通乗用自動車を運転して本件事故現場付近の片側一車線の道路を走行中、左カーブを直進してセンターラインを越えて対向車線に進入し、折から同車線を走行してきた被害者(当時16歳)が運転する原動機付自転車に衝突した。
被害者の入通院治療の経過
被害者は、脊椎後方固定術、両中手骨骨折の観血的骨接合術を受けた後、コルセットを装着しての坐位訓練等リハビリテーションを受け、その後、抜釘術を受けた。転院し、右腕神経叢損傷に対する腕神経叢展開術、副・尺骨神経移行術を受け、続いて理学療法、作業療法等リハビリテーションを受けた。再度、転院し、反射性尿失禁に対するレジニフェラトキシン膀胱内注入療法(膀胱から腎臓への尿の逆流を防ぎ、尿漏れを防ぐための施術)を受けた。入院期間は342日間に及び、今後も継続して治療を受ける必要がある。
後遺障害の内容
被害者は本件事故により、脊髄(胸髄)損傷、第八胸椎脱臼骨折、右腕神経叢引き抜き損傷、両中手骨骨折等の傷害を負った。症状固定時19歳、胸髄損傷による両下肢完全麻痺、右腕神経叢損傷による右上肢機能障害及び醜状障害により後遺障害等級1級1号と認定された。
症状としては、右腕の内側、上腕外側及び右肩から右後頭部にかけて触覚がなく、右拇指及び右示指のしびれのため掴手力の加減ができないし、2キログラム程度のものしを20秒ほどしか持ち上げることができない等の障害が残っている。
また、被害者は、背筋及び腹筋が機能せず、立位はもちろん座位も保持できず、ベッド、車いす又は自動車への移動も介助を要するし、便意及び尿意がないため、常時のおむつの着用や、おむつ替え及び摘便の介護を要する。また、就寝中も体位変換ができず、褥瘡防止のため体転マットの使用を要している。体温調節機能障害のため、汗が背中に溜まりやすくベッドのバスタオル交換も必要である。被害者は、このような障害のため、症状固定後も通院治療を要する。
判決の概要
本件事故は、加害者が同乗者との会話や考えごとに気をとられ、左カーブにさしかかったことにも気づかず、センターラインを越えて走行した過失によるものであると認定し、被害者の両親が行った入院付添は必要性、相当性が認められるとし、本件において症状固定日を基準として後遺障害逸失利益を算定する方法が不合理、不公平であるとは解されないと示し、67歳までの全就労期間48年間につき100パーセント労働能力を喪失した被害者の後遺障害慰謝料として2800万円、被害者の両親固有の慰謝料として各200万円を認定しつつ、見舞金107万円余りを損益相殺の対象とした。
認容された損害額の内訳
治療関係費 | 189万535円 |
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入院付添費 | 175万8000円 |
入院雑費 | 44万4600円 |
通院交通費 | 22万3288円 |
通院付添費 | 1万円 |
将来介護費 | 7115万7480円 |
休業損害 | 176万5480円 |
逸失利益 | 9902万7613円 |
慰謝料 | 2800万円 |
自動車改造費 | 58万2000円 |
文書料・入浴費用・治療関係費・装具代 | 11万7587円 |
介護用品代 | 123万7644円 |
介護用品買替え費用 | 125万5060円 |
介護関係費 | 451万6800円 |
加害者が支払った見舞金等 | - 1245万3114円 |
自賠責保険 | - 4000万円 |
被害者の父親固有の慰謝料 | 220万円 |
被害者の母親固有の慰謝料 | 220万円 |
確定遅延損害金 | 946万7525円 |
入通院慰謝料 | 435万円 |
弁護士費用 | 1300万円 |
※その他、既払い額や損益相殺がなされ、判決認容額となります。